産後ケア事業は、出産後の母親と乳児を心身の両面から支える母子保健施策です。
社会福祉分野の保育士試験では、過去問で対象期間、実施主体、実施方法などが問われています。独学で勉強するときは、根拠法や地域子ども・子育て支援事業、関連する訪問事業との違いを整理しましょう。
産後ケア事業とは?
産後ケア事業は、母子保健法第17条の2に基づき、市町村が産後1年を経過しない母親と乳児のうち、ケアを必要とする人に提供する母子保健事業です。
母親の心身の状態に応じた保健指導、休養の支援、授乳や育児に関する相談・指導などを行います。実施方法は、施設に泊まる短期入所(ショートステイ)型、日帰りで利用する通所(デイサービス)型、支援者が家庭を訪ねる居宅訪問(アウトリーチ)型の3つです。
| 実施方法 | 具体的な事業名・呼称の例 | 主な支援内容 |
|---|---|---|
| 短期入所(ショートステイ)型 | 宿泊型産後ケア、母子ショートステイ | 母親の休養、心身の状態の確認、授乳・乳房ケア、沐浴などの育児指導、食事の提供など |
| 通所(デイサービス)型 | 日帰り型産後ケア、母子デイケア、通い型 | 日中の休養、授乳相談、育児指導、心理的ケアなど。個別型と複数の母親が参加する集団型がある |
| 居宅訪問(アウトリーチ)型 | 訪問型産後ケア、助産師訪問型産後ケア、新生児訪問指導 | 母子の健康状態の確認、授乳・乳房ケア、育児相談、沐浴や抱き方の指導など |
3類型はいずれも、母子の状態や希望に応じて専門的な保健指導・ケアを行うものです。特に居宅訪問型は、家事代行や単なる乳児の預かりではなく、専門職が家庭で母子を支援する方法です。利用条件、利用回数、料金、事業名は市町村によって異なります。
市町村は事業の全部または一部を適切な事業者へ委託できます。
保育士試験で覚えるポイント
令和6年 保育士試験(前期)問題 子ども家庭福祉 問12では、実施主体が市町村であること、事業の委託、対象者、実施担当者、3つの実施方法が問われました。令和5年 保育士試験(前期)問題 子ども家庭福祉 問12では、対象期間が出産後2年ではなく1年を経過しない期間であることなどが出題されています。
産後ケア事業は母子保健法上の事業ですが、令和7年度から子ども・子育て支援法第59条第14号の地域子ども・子育て支援事業にも位置づけられました。
ただし、地域子ども・子育て支援事業と、社会福祉法上の第一種・第二種社会福祉事業は別の分類です。産後ケア事業は、第一種・第二種のいずれにも分類されません。
地域子ども・子育て支援事業を支援内容ごとに整理すると、次のようになります。
| 支援の種類 | 主な事業 | 支援内容 |
|---|---|---|
| 相談・交流 | 利用者支援事業(妊婦等包括相談支援事業を含む)、地域子育て支援拠点事業 | 制度の案内や相談、関係機関との調整、親子の交流 |
| 預かり・保育 | 延長保育事業、放課後児童健全育成事業、子育て短期支援事業、一時預かり事業、病児保育事業、子育て援助活動支援事業 | 時間外・放課後・病気時・宿泊を伴う預かりなど |
| 訪問・家庭支援 | 乳児家庭全戸訪問事業、養育支援訪問事業、子どもを守る地域ネットワーク機能強化事業、子育て世帯訪問支援事業、児童育成支援拠点事業、親子関係形成支援事業 | 家庭訪問、子どもの居場所、親子関係づくり、虐待予防 |
| 妊娠・産後 | 妊婦健康診査、産後ケア事業 | 妊娠中の健康確認、出産後の心身のケアや育児支援 |
| 費用・供給体制 | 実費徴収に係る補足給付、多様な事業者の参入促進・能力活用事業 | 費用負担の軽減や地域における支援の担い手確保 |
地域子ども・子育て支援事業のうち、「産後ケア事業」に類似した事業を下記の表で示します。
| 事業 | 主な対象・役割 | 主な根拠法 | 制度上の分類 |
|---|---|---|---|
| 妊婦健康診査 | 妊婦の健康状態を確認する | 母子保健法第13条 | 地域子ども・子育て支援事業 |
| 産後ケア事業 | 産後1年を経過しない母親と乳児を支援する | 母子保健法第17条の2 | 地域子ども・子育て支援事業 |
| 乳児家庭全戸訪問事業 | 乳児のいる家庭を訪問し、状況確認や相談援助を行う | 児童福祉法第6条の3第4項 | 地域子ども・子育て支援事業・第二種社会福祉事業 |
| 養育支援訪問事業 | 養育上の支援が特に必要な家庭を継続的に訪問する | 児童福祉法第6条の3第5項 | 地域子ども・子育て支援事業・第二種社会福祉事業 |
産後ケア事業の○×クイズ
問題
産後ケア事業は、児童福祉法に基づく第二種社会福祉事業であり、出産後2年以内の母親だけを対象とする。○か×か。
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解答
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解説
産後ケア事業の根拠は母子保健法で、対象は出産後1年を経過しない母親と乳児です。地域子ども・子育て支援事業には含まれますが、第一種・第二種社会福祉事業ではありません。
関連用語
産後ケア事業の法的な位置づけを理解するには、母子保健法、地域子ども・子育て支援事業、乳児家庭全戸訪問事業をあわせて確認しましょう。根拠法と支援対象を比べると、母子保健施策と児童福祉施策の違いを整理できます。





