【保育士試験対策】障害者福祉と関連法規

保育士試験対策:障害者福祉と関連法規

保育士試験の対策でつまずきやすいのが、障害者福祉に関する法律の整理です。

身体・知的・発達・精神の各分野の法律に加え、障害者基本法や障害者総合支援法なども重なり、覚えにくく感じる人は少なくありません。

この記事では、障害者福祉の全体像と関連する法律のつながりを、試験で押さえるべきポイントに絞ってわかりやすく解説します。

このページで学習する内容
  • 障害者福祉とは
  • 障害者福祉の流れ
  • 身体障害者福祉、精神障害者福祉、知的障害者福祉、発達障害者福祉について
目次

障害者福祉とは

障害者福祉とは、障害のある人が、必要な支援を受けながら地域で生活し、学び、働き、社会参加していくことを支える仕組みです。

障害者福祉には、障害の種類(身体障害者福祉、知的障害者福祉、発達障害者福祉、精神障害者福祉)ごとに、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、発達障害者支援法、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律といった法律があります。

さらに、制度全体の土台として障害者基本法があり、実際の福祉サービスの中心は障害者総合支援法、差別禁止は障害者差別解消法、虐待防止は障害者虐待防止法、国際的な基準は障害者権利条約が担っています。

つまり、障害者福祉は一つの法律だけで成り立つのではなく、障害種別ごとの法律と、全体を支える共通法が重なってできている仕組みです。

障害者福祉の全体の流れ

戦後直後から1960年代前半は、戦争や感染症の後遺症、生活困難への対応を背景に、身体障害者福祉法(1949年)精神衛生法(1950年。現・精神保健及び精神障害者福祉に関する法律)精神薄弱者福祉法(1960年。現・知的障害者福祉法)といった障害種別ごとの個別法が整えられた時期です。この段階では、保護・更生・施設整備の色合いが強く、障害ごとに別々の仕組みで支える発想が中心でした。

戦後直後には発達障害者福祉に対する個別法はなく、発達障害者支援法は2004年に初めて登場します。

1970年には、戦後直後の個別法の基本的共通事項を定めるた心身障害者対策基本法が整備されました。1993年には、国際的な権利保障の流れと、地域生活・社会参加を重視する1990年代の福祉改革を背景に障害者基本法へと改められ、障害者施策を全体として方向づける基本法的な考え方が明確になります。

1987年には精神衛生法が精神保健法へ改められ、1995年には精神保健及び精神障害者福祉に関する法律となって、精神障害者福祉が法律名の上でも明確に位置づけられました。知的障害分野でも、1998年に精神薄弱者福祉法が知的障害者福祉法へ改称され、当事者の尊厳や社会参加を意識した見直しが進みました。

2000年代には、介護保険制度の創設とも軌を一にして、障害種別ごとの制度を超え、利用者がサービスを選んで使う方向へ大きく転換しました。2003年の支援費制度、2006年の障害者自立支援法2013年の障害者総合支援法は、その象徴です。これは、従来の措置制度から、利用者本位・契約・選択を重視する仕組みへ移った流れの中で理解できます。

2010年代以降は、福祉サービスの整備に加えて、権利保障が大きな柱になります。2011年の障害者基本法改正、2011年成立・2012年施行の障害者虐待防止法、2013年成立・2016年施行の障害者差別解消法、そして2014年の障害者権利条約批准により、障害者福祉は「必要なサービスを提供する」だけでなく、「差別をなくし、虐待を防ぎ、合理的配慮を保障しながら地域で暮らせる社会をつくる」方向へ進みました。

身体障害者福祉

身体障害者福祉は、戦後の障害者福祉の出発点として最も早く法整備が進んだ分野です。

背景には、戦争による傷痍、戦災、感染症後遺症など、身体機能に障害をもつ人への支援が急務だったことがあります。1949年の身体障害者福祉法により、身体障害者手帳、更生援護、相談体制などの基盤が整えられ、現在もこの法律は身体障害者更生相談所身体障害者相談員などの制度を支えています。

現在の福祉サービスの多くは障害者総合支援法の共通サービスに移っていますが、身体障害者福祉法は今も認定・相談・更生援護の個別法として重要です。

知的障害者福祉

知的障害者福祉は、身体障害者福祉より遅れて整備された分野です。戦後初期の法体系では、身体障害者や児童への対応は進んでも、成人の知的障害者福祉は立ち遅れていたため、1960年に精神薄弱者福祉法が制定されました。

その後、1998年に知的障害者福祉法へ改められ、用語の見直しとともに、尊厳と社会参加を重視する方向が明確になりました。現在もこの法律は、知的障害者更生相談所知的障害者相談員の制度を支えていますが、日常生活支援や就労支援の多くは障害者総合支援法と組み合わされて提供されています。

発達障害者福祉

発達障害者福祉は、4分野の中では比較的新しく、見えにくさや制度の谷間への対応から整備が進んだ分野です。

2004年に成立し2005年に施行された発達障害者支援法は、早期発見・早期支援、乳幼児期から成人期までの切れ目のない支援、教育・医療・福祉・労働の連携を重視する法律です。

都道府県等は発達障害者支援センターを設置でき、また発達障害者支援地域協議会を置くことができるとされています。

発達障害分野は、個別法としての発達障害者支援法を軸にしつつ、児童期は児童福祉法、成人期は障害者総合支援法、権利保障は差別解消法や虐待防止法と連動して支える構造になっています。

精神障害者福祉

精神障害者福祉は、長い間、福祉よりも監護や医療管理の色合いが強かった分野です。

この分野は、他の個別法に比べて前身となる法律の制定が早く、すでに1900年の精神病者監護法1919年の精神病院法という前史があります。これらは私宅監置や公立精神病院の整備を定めた法律で、監護や収容の色合いが強いものでした。

戦後は1950年の精神衛生法から出発し、1987年に精神保健法1995年に現在の精神保健及び精神障害者福祉に関する法律へ改められました。この改正により、法律名の上でも「精神障害者福祉」が明確に位置づけられ、社会復帰や地域生活支援の方向が強まりました。

現在、この法律は精神保健福祉センター精神保健指定医精神保健福祉相談員などの基盤を定めており、福祉サービス自体は障害者総合支援法と組み合わせて提供されています。

精神障害者福祉は、監護や収容を中心とした時代から、医療中心の時代を経て、地域生活と権利保障を含む支援へと発展してきた分野だといえます。

障害者雇用促進法と就労支援

障害者福祉の全体像を考えるうえでは、働くことを支える制度も欠かせません。その中心が障害者雇用促進法です。

障害者雇用促進法は、狭い意味での福祉サービス法ではありませんが、障害のある人の就労と社会参加を支える重要な関連法であり、広い意味では障害者福祉を支える法律の一つです。障害者総合支援法が生活支援や就労準備を担い、障害者雇用促進法が雇用機会の確保や職場定着を担うことで、両者は連携しています。

障害者雇用促進法は1960年の身体障害者雇用促進法として始まり、1976年には民間企業にも法定雇用率が義務化され、1987年に現在の障害者の雇用の促進等に関する法律へ改められました。この改正で、法の対象が身体障害者だけでなく、知的障害者や精神障害者を含む方向へ広がっていきます。さらに、1998年に知的障害者の雇用義務化、2016年に差別禁止と合理的配慮の提供義務、2018年に精神障害者の雇用義務化が進み、障害者雇用は「雇ってよいかどうか」ではなく、適切な配慮をしたうえで働き続けられる仕組みを整えることが中心課題になりました。

障害者雇用促進法のもとでは、ハローワークが専門職員や職業相談員による職業相談・紹介・定着支援を行い、地域障害者職業センターが中核的な職業リハビリテーション機関として、職業評価、職業準備支援、ジョブコーチ支援、事業主への助言などを担います。

さらに、身近な地域で就業面と生活面を一体的に支援する障害者就業・生活支援センターが置かれ、企業や支援機関との橋渡しを行っています。専門職としては、障害者職業カウンセラー職場適応援助者(ジョブコーチ)、企業内の障害者職業生活相談員などが重要です。障害者福祉を「生活支援」と「就労支援」を切り離さずにみるうえで、障害者雇用促進法は非常に大きな意味を持っています。

法律・施設・専門職の整理表

下の表は、主要な法定施設・機関・専門職等を中心に整理したものです。理念法や条約のように直接施設を設置しない法律は、その旨を明記しています。サービス提供現場では、省令・告示・委託事業で位置づく職種も多いため、ここでは法律本文または公的説明資料で確認しやすい代表的なものを優先しています。

法律役割・位置づけ主な施設・機関主な専門職・相談員等
身体障害者福祉法身体障害者の認定、更生援護、相談の個別法身体障害者更生相談所身体障害者相談員
知的障害者福祉法知的障害者の更生援護、相談の個別法知的障害者更生相談所知的障害者相談員
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律精神障害の医療・相談・社会復帰・福祉の基盤法精神保健福祉センター、保健所、精神医療審査会精神保健指定医、精神保健福祉相談員
障害者基本法障害者施策全体の理念法・基本法障害者政策委員会直接規定される福祉専門職はなし
障害者総合支援法障害福祉サービスの共通基盤法障害者支援施設、障害福祉サービス事業所、一般相談支援事業所、特定相談支援事業所、基幹相談支援センター、地域活動支援センター、福祉ホーム相談支援専門員、主任相談支援専門員、サービス管理責任者
障害者権利条約障害者の人権保障に関する国際条約直接の国内施設規定なし直接の国内資格職規定なし
障害者差別解消法差別禁止と合理的配慮、相談体制整備の法律障害者差別解消支援地域協議会、各行政機関等の相談窓口直接規定される固有資格職はなし
発達障害者支援法発達障害の早期発見・早期支援・連携の法律発達障害者支援センター、発達障害者支援地域協議会法律固有の国家資格はなし(センター職員等による支援)
障害者虐待防止法虐待防止、通報、保護、養護者支援の法律市町村障害者虐待防止センター、都道府県障害者権利擁護センター直接規定される固有資格職はなし
障害者雇用促進法障害者雇用、職業リハビリテーション、合理的配慮の雇用面での基盤法ハローワーク、障害者職業総合センター、広域障害者職業センター、地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター障害者職業カウンセラー、障害者職業生活相談員、障害者雇用推進者、職場適応援助者(ジョブコーチ)、ハローワークの専門職員・職業相談員

まとめ

障害者福祉の歴史は、障害種別ごとの個別法で最低限の保護と更生を図る段階から、共通のサービス体系で地域生活を支える段階へ、さらに差別解消・虐待防止・就労保障を含む権利保障型の制度へと発展してきた歴史です。

身体、知的、発達、精神の各分野は、それぞれ出発点も課題も異なりますが、現在はどの分野でも、本人の意思、自立、地域で暮らすこと、働くこと、社会参加することが中心に置かれています。障害者福祉を理解するうえでは、個別法だけでなく、障害者基本法、障害者総合支援法、差別解消法、虐待防止法、障害者雇用促進法、そして障害者権利条約まで含めて全体像を捉えることが大切です。

くっしー
この記事の執筆者
はじめての保育士試験の「社会福祉」と「こども家庭福祉」で撃沈した人。普段は歯科医師として働きながら、育児をしています。
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