少子化社会対策基本法は、保育士試験の社会福祉で、少子化対策の流れを理解するうえで重要な法律です。
独学で勉強していると、少子化社会対策大綱、こども大綱との関係が混乱しやすいため、過去問対策として整理しておきましょう。
少子化社会対策基本法とは?
少子化社会対策基本法とは、急速に進む少子化に対応するため、国・地方公共団体・事業主・国民の責務や、基本的な施策の方向を定めた法律です。2003(平成15)年に成立・施行されました。
結婚や出産は個人の意思に基づくことを前提として、子どもを安心して生み育てられる環境を整備し、国民が豊かで安心して暮らせる社会を実現することを目的としています。
国・地方公共団体・事業主・国民には、それぞれの立場に応じた責務が定められています。
この法律は、個別の給付やサービスを直接設ける法律ではなく、少子化対策を総合的に進めるための基本法です。主な施策の分野は次のとおりです。
| 施策の分野 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 雇用環境の整備 | 育児休業制度の充実、労働時間の短縮、再就職支援、多様な働き方の確保 |
| 保育サービス等の充実 | 病児保育、延長保育、一時保育、放課後児童健全育成事業、子育て相談の充実 |
| 地域の子育て支援 | 地域住民による子育て支援活動や、子育て家庭を支える地域体制の整備 |
| 母子保健医療の充実 | 妊産婦・乳幼児への健康診査、保健指導、相談支援、周産期・小児医療の充実 |
| 教育・体験機会の充実 | 学校教育の充実、文化・スポーツ・社会体験の機会、家庭教育への支援 |
| 生活環境の整備 | 子育てに適した住宅、公共施設、交通環境、安全な生活環境の整備 |
| 経済的負担の軽減 | 児童手当、奨学事業、子どもの医療、税制上の措置など |
| 調査研究 | 少子化の状況や要因、施策の効果に関する調査研究 |
大綱との関係も重要です。少子化社会対策基本法第7条は、政府に対し、総合的・長期的な少子化対策の指針となる大綱を定めることを義務づけています。
従来は「少子化社会対策大綱」が単独で策定されていましたが、2023(令和5)年12月に廃止され、現在はこども基本法に基づく「こども大綱」へ一元化されています。こども大綱のうち少子化対策に関する部分が、少子化社会対策基本法上の大綱として扱われます。
試験では、少子化社会対策基本法が基本理念と施策の方向を示し、こども大綱が政府全体の具体的な政策方針をまとめるという関係で整理しましょう。
保育士試験で覚えるポイント
少子化対策では、法律、政府の方針、実施計画、会議の役割を区別することが重要です。
少子化社会対策基本法は、国や地方公共団体などの責務と施策の基本方向を定める法律です。同法に基づく少子化社会対策大綱は、政府が少子化対策を総合的・長期的に進めるための指針でした。
少子化社会対策会議は、内閣総理大臣を会長として関係施策を推進した政府の会議です。令和5年 保育士試験(前期)問題 社会福祉 問20では、出題当時の制度として、同会議と少子化社会対策基本法との組み合わせが問われました。
現在はこの会議を含む複数の会議が、こども基本法に基づくこども政策推進会議へ統合されています。
少子化対策の主な流れは次のとおりです。
| 年 | 法律・計画等 | 位置づけ・主な内容 |
|---|---|---|
| 1990年 | 1.57ショック | 1989年の合計特殊出生率が1.57となり、少子化が社会問題として強く認識される契機となった |
| 1994年 | エンゼルプラン | 仕事と子育ての両立、多様な保育サービス、母子保健、住宅、教育、経済的負担の軽減など、総合的な子育て支援の方向を示した |
| 1999年 | 新エンゼルプラン | エンゼルプランを拡充し、保育だけでなく雇用、母子保健、教育、住宅などを含む具体的な実施計画を示した |
| 2002年 | 少子化対策プラスワン | 保育中心の対策から、男性を含む働き方の見直し、地域の子育て支援、社会保障における次世代支援などへ範囲を広げた |
| 2003年 | 次世代育成支援対策推進法 | 地方公共団体や一定の事業主に、次世代育成支援のための行動計画の策定を求めた |
| 2003年 | 少子化社会対策基本法 | 少子化対策の基本理念、関係主体の責務、基本的施策、大綱の策定義務を定めた |
| 2004年 | 少子化社会対策大綱 | 少子化社会対策基本法に基づき、政府の総合的・長期的な施策の指針として初めて策定された |
| 2004年 | 子ども・子育て応援プラン | 大綱を具体化する実施計画として、2005年度から5年間の施策と目標を示した |
| 2012年 | 子ども・子育て関連3法 | 認定こども園、幼稚園、保育所、地域の子育て支援を共通の制度の下で進める枠組みを整備した |
| 2015年 | 子ども・子育て支援新制度 | 関連3法に基づき、教育・保育給付や地域子ども・子育て支援事業などを開始した |
| 2020年 | 少子化社会対策大綱 | 結婚、妊娠・出産、子育ての各段階を通じた施策の方向を示した最後の単独の大綱 |
| 2023年 | こども基本法・こども家庭庁 | こども施策を総合的に推進する基本法と、政策の司令塔となる行政機関が発足した |
| 2023年 | こども大綱 | 少子化社会対策大綱、子供・若者育成支援推進大綱、子供の貧困対策に関する大綱を一元化した |
現在、単独の少子化社会対策大綱は廃止されています。ただし、少子化社会対策基本法の大綱策定義務がなくなったわけではありません。こども大綱のうち少子化対策に関する部分が、同法上の大綱として扱われます。
試験では、「エンゼルプランで総合的な子育て支援が始まる」→「二つの法律で法的な枠組みが整う」→「少子化社会対策大綱で政府方針を示す」→「こども大綱へ一元化」という流れで整理しましょう。
少子化社会対策基本法の○×クイズ
問題
少子化社会対策基本法は、児童虐待の防止と被虐待児童の保護を主な目的として制定された法律である。○か×か。
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解答
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解説
少子化社会対策基本法は、少子化に対処するための施策を総合的に進めるための法律です。児童虐待の防止を主な目的とする法律は、児童虐待の防止等に関する法律です。
関連用語
少子化社会対策基本法を理解するには、「次世代育成支援対策推進法」「こども大綱」「子ども・子育て支援法」とあわせて整理すると効果的です。少子化対策の年代順や、国の子育て支援施策の流れをまとめて押さえておきましょう。




