世界人権宣言は、戦争による深刻な人権侵害への反省から生まれ、現代の人権保障の基礎となった文書です。
保育士試験の社会福祉対策では、独学で勉強するときも、採択された年と機関だけでなく、社会保障や母子の保護に関する内容、日本における人権擁護の仕組みとの違いまで押さえましょう。
世界人権宣言とは?
世界人権宣言は、第二次世界大戦で生じた大規模な人権侵害への反省を背景に、1948(昭和23)年12月10日の第3回国際連合総会で採択された文書です。
すべての人が生まれながらに持つ尊厳と平等を基本に、生命・自由、差別を受けない権利、社会保障、教育などを全30条で示しています。すべての国と人々が目指す共通の基準であり、後の国際的な人権条約にも大きな影響を与えました。
ただし、条約ではないため、宣言自体に条約のような法的拘束力はありません。
第一条
すべての人間は、生れながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である。人間は、理性と良心とを授けられており、互いに同胞の精神をもって行動しなければならない。
第二条
① すべて人は、人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治上その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、門地その他の地位又はこれに類するいかなる事由による差別をも受けることなく、この宣言に掲げるすべての権利と自由とを享有することができる。
② さらに、個人の属する国又は地域が独立国であると、信託統治地域であると、非自治地域であると、又は他のなんらかの主権制限の下にあるとを問わず、その国又は地域の政治上、管轄上又は国際上の地位に基づくいかなる差別もしてはならない。
第七条
すべての人は、法の下において平等であり、また、いかなる差別もなしに法の平等な保護を受ける権利を有する。すべての人は、この宣言に違反するいかなる差別に対しても、また、そのような差別をそそのかすいかなる行為に対しても、平等な保護を受ける権利を有する。
第十八条
すべて人は、思想、良心及び宗教の自由に対する権利を有する。この権利は、宗教又は信念を変更する自由並びに単独で又は他の者と共同して、公的に又は私的に、布教、行事、礼拝及び儀式によって宗教又は信念を表明する自由を含む。
第十九条
すべて人は、意見及び表現の自由に対する権利を有する。この権利は、干渉を受けることなく自己の意見をもつ自由並びにあらゆる手段により、また、国境を越えると否とにかかわりなく、情報及び思想を求め、受け、及び伝える自由を含む。
第二十二条
すべて人は、社会の一員として、社会保障を受ける権利を有し、かつ、国家的努力及び国際的協力により、また、各国の組織及び資源に応じて、自己の尊厳と自己の人格の自由な発展とに欠くことのできない経済的、社会的及び文化的権利を実現する権利を有する。
第二十五条
① すべて人は、衣食住、医療及び必要な社会的施設等により、自己及び家族の健康及び福祉に十分な生活水準を保持する権利並びに失業、疾病、心身障害、配偶者の死亡、老齢その他不可抗力による生活不能の場合は、保障を受ける権利を有する。
② 母と子とは、特別の保護及び援助を受ける権利を有する。すべての児童は、嫡出であると否とを問わず、同じ社会的保護を受ける。
第二十六条
① すべて人は、教育を受ける権利を有する。教育は、少なくとも初等の及び基礎的の段階においては、無償でなければならない。初等教育は、義務的でなければならない。技術教育及び職業教育は、一般に利用できるものでなければならず、また、高等教育は、能力に応じ、すべての者にひとしく開放されていなければならない。
② 教育は、人格の完全な発展並びに人権及び基本的自由の尊重の強化を目的としなければならない。教育は、すべての国又は人種的若しくは宗教的集団の相互間の理解、寛容及び友好関係を増進し、かつ、平和の維持のため、国際連合の活動を促進するものでなければならない。
③ 親は、子に与える教育の種類を選択する優先的権利を有する。
保育士試験で覚えるポイント
保育士試験では、「1948年」「国連総会」「人権保障の共通基準」「条約ではない」という点を一組で覚えましょう。日本が国際連合に加盟したのは1956(昭和31)年なので、日本が加盟国として世界人権宣言の採択に参加したわけではありません。
また、日本国憲法は1947(昭和22)年施行、世界人権宣言は1948年採択です。「世界人権宣言を受けて日本国憲法が制定された」と取り違えないようにしてください。
社会福祉や子どもの権利と関係の深い条文は、次のとおりです。
| 条文 | 主な内容 |
|---|---|
| 第1条・第2条 | すべての人の尊厳と平等、差別を受けずに権利を持つこと |
| 第22条 | 社会の一員として社会保障を受ける権利 |
| 第25条 | 健康と福祉に必要な生活水準を保つ権利、母と子が特別な保護と援助を受ける権利 |
| 第26条 | 教育を受ける権利 |
日本では、日本国憲法を基本として、各法律や日本が締結した人権条約により人権保障を具体化しています。
法務省人権擁護局、法務局・地方法務局、人権擁護委員は、人権相談、人権侵害が疑われる事案の調査・救済、人権啓発などを行います。これらは身近な相談・救済の仕組みであり、裁判とは別の制度です。
世界人権宣言の○×クイズ
問題
世界人権宣言は、第二次世界大戦の反省を背景に、1948年に国連総会で採択され、すべての人々と国々が人権保障のために目指す共通の基準を示した文書である。○か×か。
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解答
○
解説
世界人権宣言は、1948年12月10日に国連総会で採択されました。ただし、条約ではないため、宣言自体に条約と同じ法的拘束力はありません。
関連用語
国際的な人権保障が子どもの権利へ発展した流れは児童の権利に関する条約、日本国内における個人の尊重と社会保障の考え方は日本国憲法第13条・第25条とあわせて確認しましょう。




