福祉関係八法改正は、保育士試験の社会福祉分野で、日本の社会福祉制度の転換点として押さえたい用語です。
独学で勉強する際は、施設中心から在宅福祉・地域福祉へ、国中心から市町村中心へという流れで理解しましょう。
福祉関係八法改正とは?
福祉関係八法改正とは、1990(平成2)年に行われた、老人福祉法など福祉に関係する8つの法律の一括改正を指します。
生活保護法を除く福祉六法に加え、社会福祉事業法(現:社会福祉法)、社会福祉・医療事業団法、老人保健法が改正されました。
高齢化の進行を背景に、福祉サービスを地域で提供する方向性が強まりました。特に、在宅福祉の重視、市町村の役割強化、老人保健福祉計画の策定などが重要です。
1990(平成2)年の福祉関係八法改正は、正式には「老人福祉法等の一部を改正する法律」といい、在宅福祉と施設福祉を市町村中心に一体的・計画的に提供する体制を整えた改革です。
| 法律 | 主な改正内容 |
|---|---|
| 老人福祉法 | ホームヘルプ、デイサービス、ショートステイなどの在宅福祉サービスを法律上明確に位置づけた。老人ホームへの入所決定権を町村へ移し、市町村・都道府県老人福祉計画を設けた |
| 身体障害者福祉法 | 自立と社会参加の促進を法の目的に明記し、在宅福祉サービスを整備した。施設入所、更生医療、補装具給付などの権限を町村へ移した |
| 精神薄弱者福祉法(現:知的障害者福祉法) | 居宅介護、短期入所、地域生活援助などを追加し、通勤寮と福祉ホームを法律上の施設として位置づけた |
| 児童福祉法 | 障害児に対する居宅介護、デイサービス、短期入所など、在宅での支援を法律上位置づけた |
| 母子及び寡婦福祉法(現:母子及び父子並びに寡婦福祉法) | 母子家庭の母や寡婦に対し、居宅で日常生活を送るための援助を行う制度を追加した |
| 社会福祉事業法(現:社会福祉法) | 各分野の在宅福祉サービスなどを社会福祉事業として位置づけ、地域で福祉サービスを総合的に提供する理念を明確にした |
| 老人保健法 | 市町村・都道府県老人保健計画を設け、老人福祉計画と一体的に作成する仕組みを整えた |
| 社会福祉・医療事業団法 | 福祉従事者の研修・福利厚生、調査研究などを助成するため、社会福祉・医療事業団に基金を設けた |
日本の福祉行政が、地域で支える仕組みへ移っていく節目として理解しましょう。
保育士試験で覚えるポイント
福祉関係八法改正は、日本の社会福祉史や地域福祉の流れと関連して問われやすい用語です。
試験対策では、1990年の改正であること、在宅福祉が重視されたこと、福祉サービスの実施主体として市町村の役割が大きくなったことを押さえましょう。
社会福祉基礎構造改革や介護保険制度と混同せず、1990年代の地域福祉への転換として整理することが大切です。
| 年号 | 事項 | 概要 |
|---|---|---|
| 1874(明治7)年 | 恤救規則 | 近代日本で最初の全国的な公的救済制度。 |
| 1929(昭和4)年成立 1932(昭和7)年施行 | 救護法 | 市町村を救護の実施主体とし、対象者や救護内容を恤救規則より拡大した。 |
| 1946(昭和21)年 | GHQ「救済福祉計画に関する覚書」 | 公的扶助について、国家責任、公私分離、無差別平等、必要な保護の充足という原則を示した。 |
| 1946(昭和21)年 | 旧生活保護法 | 戦後の生活困窮者を保護するために制定。 |
| 1946(昭和21)年公布 1947(昭和22)年施行 | 日本国憲法 | 第25条で生存権を保障し、国に社会福祉・社会保障・公衆衛生の向上増進を求めた。 |
| 1947(昭和22)年 | 児童福祉法 | すべての児童の健全な育成と福祉を保障する基本法。 |
| 1949(昭和24)年 | GHQ「社会福祉行政に関する六項目」 | 福祉行政地区、有給専門職員、公私の責任分担、社会福祉協議会、現任訓練などの整備を求めた。 |
| 1949(昭和24)年 | 身体障害者福祉法 | 身体障害者の更生、自立、社会参加を支援する制度を整備した。これにより戦後の福祉三法体制が成立した。 |
| 1950(昭和25)年 | 現行生活保護法 旧法の全面改正 | 日本国憲法第25条を根拠に、最低生活の保障と自立の助長を目的として旧法を全面的に改めた。国家責任、無差別平等、最低生活保障、保護の補足性を基本原理とする。 |
| 1951(昭和26)年 | 社会福祉事業法 | 社会福祉事業、社会福祉法人、福祉事務所など、各福祉分野に共通する基盤を整備した。2000年に社会福祉法へ改称された。 |
| 1960(昭和35)年 | 精神薄弱者福祉法 | 知的障害者に対する相談、更生援護、施設サービスなどを法制化した。現在の知的障害者福祉法。 |
| 1961(昭和36)年 | 国民皆保険・皆年金 | すべての国民が公的医療保険と公的年金のいずれかに加入する体制が実現し、病気や老後に備える社会保険制度が全国民へ広がった。 |
| 1963(昭和38)年 | 老人福祉法 | 高齢者の福祉を総合的に進める法律。養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、在宅福祉などの法的基盤を整えた。 |
| 1964(昭和39)年 | 母子福祉法 | 配偶者のいない女性とその児童の生活安定・自立を支援する制度を整えた。現在の母子及び父子並びに寡婦福祉法。 |
| 1973(昭和48)年 | 福祉元年 | 老人医療費支給制度、年金給付の改善、医療保険の給付拡充などが行われ、社会保障が大幅に充実した年とされる。 |
| 1982(昭和57)年成立 1983(昭和58)年施行 | 老人保健法 | 高齢者医療費の公平な負担と保健事業を進める仕組みを整備した。老人医療費無料化から、本人を含む社会全体で費用を負担する方向へ転換した。 |
| 1989(平成元)年 | ゴールドプラン | 高齢者保健福祉推進十か年戦略。ホームヘルパー、デイサービス、ショートステイ、施設などの整備目標を掲げた。 |
| 1990(平成2)年 | 福祉関係八法改正 | 在宅福祉の法定化、市町村中心のサービス提供、老人保健福祉計画の策定を進めた。 |
| 1997(平成9)年成立 2000(平成12)年施行 | 介護保険法 | 高齢者介護を家族だけでなく社会全体で支える社会保険制度を創設した。市町村を保険者とし、要介護認定に基づいて利用者がサービスを選択する仕組みを導入した。 |
| 1997~2000年 | 社会福祉基礎構造改革 | 行政がサービスを決める措置制度中心の福祉から、利用者本位、自己決定、契約による利用を重視する福祉への転換を進めた。情報公開、苦情解決、第三者評価、権利擁護も重視された。 |
| 2000(平成12)年 | 社会福祉法への改称・改正 | 社会福祉事業法を社会福祉法へ改め、地域福祉の推進、地域福祉計画、利用者保護の仕組みなどを規定した。基礎構造改革を法制度として具体化した。 |
福祉関係八法改正の○×クイズ
問題
福祉関係八法改正は、在宅福祉の重視や市町村の役割強化など、地域で福祉サービスを提供する方向性を進めた改正である。○か×か。
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解答
○
解説
福祉関係八法改正では、施設中心の支援だけでなく、地域や在宅での福祉サービスが重視されました。市町村の役割が強化された点も重要です。
関連用語
福祉関係八法改正を理解するには、社会福祉基礎構造改革、老人福祉法、地域福祉計画をあわせて確認すると整理しやすくなります。
日本の社会福祉が、地域で支える仕組みへ変化していく流れで学びましょう。










